恋する季節 *- confession of love -*
今までの大した事ない仕掛けにここまで怖がっているなら、今から起きようとしている事には耐えられないのではないかと思ったからだ。
何度も来ているらしいけれど、一応声をかけておこうとして……袖から男子の手が離れている事に気づく。
まさかもう恐怖のあまり倒れて……?!
「大丈夫……?!」
そう思い、しゃがみ込んで手を床にパタパタとつけながら男子が倒れていないか確認していると……。
直後、「うわぁああ……!」という声が聞こえて、その後ドスンと転んだような音が聞こえてきた。
「え、どうしたの?! 大丈夫?!」
真っ暗な中、手探りで歩きながら無事か確認していると、急にその手をがっと掴まれる。
驚いて肩を揺らした美琴がその手を振り払おうとした時、辺りにボォっと緑色の光が浮かんだ。
恐らく、ラストの見せ場、3Dゾンビが始まったんだろうと思いながら美琴が手を離してもらおうと、目の前にいるであろう男子を見上げて……驚く。
「あれ……なんで大和がいるの?」
美琴の手を掴んでいるのは、先ほどまでいた男子ではなく、息を切らせている大和だった。
驚いて、なんで……?と呟く美琴に、機嫌の悪そうな大和が顎である方向を指し示す。