恋する季節 *- confession of love -*


美琴が倒れた男子を手探りで探そうとしゃがんだ途端、叫び声が聞こえて、その後ドスンという音が聞こえた。
何の音だろうと思っていた美琴だったが、抱きつこうとした時に美琴がしゃがんだからそのまま前のめりに倒れてしまったんだとしたら……一連の音にもおでこの血にも説明がつく。

そうだったのかと呑気に納得している美琴に、大和がはぁと重たいため息を落としてから、怒りを爆発させた。

「おまえ、男嫌いなのになんで他の男とこんな暗いとこ入ろうとするんだよ。
俺と入ればよかっただろぉが!」

自分以外に怒鳴っているところはよく見ても、実際に怒鳴られるのは初めてだった美琴が肩をびくんと揺らす。

「だ、だって、大和と入りたがってる子いっぱいいたから……。
私が誰かと入らない限り、大和、他の子と入らなそうだし、それで……」
「なんで美琴以外の女とふたりでこんなとこ入らなきゃいけないんだよ!
俺は、最初からおまえとふたりできたかったのに、おまえは他の女とも話せとか言うし……」
「それは……」
「俺たち、一応付き合ってんじゃねぇのかよ……」



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