恋する季節 *- confession of love -*


なんで大和はこんなに優しいんだろう。
なんでこんなにカッコいいんだろう。
なんでこんなに――。

溢れ出したたくさんの感情に胸がいっぱいになった美琴が、そっと大和に手を伸ばして腕に触れる。

「美琴……?」

美琴からこんな風に触ってくるのが珍しく、期待が大和の胸で膨らんでいた。
そういえばさっきも服を掴んでいたが、何か言いたい事でもあるのだろうか。

「き、嫌いになんか、ならない……。
私……っ、私ね……」

期待半分、心配半分。
なかなか話し出さない美琴を大和がそんな気持ちで見つめていた時、美琴がようやくキュっと結んでいた口を開く。
そして、続きを言おうとした瞬間。

大和の携帯が鳴ってそれを止めた。

「あ、悪い」
「……ううん」

笑顔でそう答えてから……美琴ががっくりと肩を落とす。

大和に告白されて一ヶ月。
実は、美琴は未だにその返事が出来ていない。




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