ふたりぼっち
プロローグ



冷たくて、暗い倉庫みたいな部屋。

そこに、私の家族は横たわっていた。

色を失った肌。

光を無くした瞳。

声を取られた唇。

私は、自分でも驚くほど冷静だった。

泣かなきゃいけない場面なんだなと分かっていながら、 目が潤ませることさえなかった。

嗚咽の代わりに出た言葉は、小さく一言、

“即死だったと思いますか?”

医者は、頷いた。

死因なんてどうでもいい。



この夏私に起きたのは

息もつかせない

鋭利な真実だった。



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