ふたりぼっち
第一章
教室
「わぁ~! 九条さんの班うまそー!」
カレーの香りが立ち込める家庭科室に、そんな声が響きわたる。
「大したことないよ」
「いやいや完成度高すぎて笑えるレベルですけど」
「そんな謙遜しないでよ!莉亜ちゃんのお陰なんだから。
これでうちらの班優勝確定なんだもんねーっ」
そりゃ、あんたらなんもしてねーもんな。
カレーをさいごの皿に盛り付けようとしたとき、
「それはないなっ!!!!」
私が視線を移すと、そこには
「…………あー」
そこにはどや顔の男子がいた。