絶滅危惧種『ヒト』
突然携帯電話が鳴ったから、全員飛び上がるほど驚いた。


「ご、ごめんなさい」


鳴ったのは梓の携帯電話で、梓は謝ってから電話に出た。


『良かった。まだ生きてた。お姉ちゃん今どこ？』


電話は妹の栞からである。


「今は東城医大病院だけど」


『ねぇ聞いて、うちの学校の子が次々死んじゃってるの』


「知ってるよ」


『私の友達も何人も死んじゃったの。私も死んじゃうのかな？』


「分からないよ。ねぇ、すぐに東城医大病院においで、お母さんとお父さんも来た方が良いから、うちにいるなら一緒に来て」


『うん。分かった』


栞はそう言って電話を切った。


「妹さん？」


聖人が梓に聞く。


「うん」


「うちも母さんを呼んだほうが良いかな？」


聖人は直樹に聞いた。


「そうだな……」


正直なところ、病院に来ても治療法は確立されていない。


そう思いながらも、直樹は母親に病院に来るようにと、電話をかけた。

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