絶滅危惧種『ヒト』
道路に倒れた人や、パニックを起こして泣き叫ぶ人たちを横目に見ながら、井上は東城医大病院へと到着した。
日曜日とはいえ、いつも人で溢れている病院なのに、全く敷地内に人がいない。
井上は自転車を駐輪場ではなく、一番感染症学科に行くのに近い入り口に乗りつけた。
そのまま感染症学科に向かい、直樹の研究室のドアを開ける。
「おい直樹!」
大声で叫んだけど、返事はない。
「あ……」
井上の目が一点で釘付けになる。
直樹の婚約者である、橋本留美が寝かされていた。
「これは……」
青ざめて血の気のない顔色は、触診の必要もなく死んでいることが分かる。
「おい直樹!」
井上は部屋の中の直樹を探した。
と言っても、そんなに広い部屋ではないのだから、見回せばそこにいないのはすぐに分かる。
いったいどこに行ったのか?
彼女が発病してしまい。自暴自棄になって……。
嫌な想像をしてしまい。井上は首を振った。
大量の発病者が出て、人がいなくなった病院。
普通に考えれば自宅に帰っている可能性が高い。
井上は再度携帯電話を取り出して、電話をかけてみたが繋がらなかった。
「ちっ」
井上は携帯電話をポケットにしまうと、直樹の自宅に向かうために部屋を飛び出す。
ちょうどこの頃、聖人たちは遅れて到着し、正面玄関側に自転車を停めて病院内に入ったところだった。
そのため、井上と擦違うことなく、感染症学科に辿り着き、井上は一人でまた自転車に跨ると、そのまま直樹の自宅に向かった。
日曜日とはいえ、いつも人で溢れている病院なのに、全く敷地内に人がいない。
井上は自転車を駐輪場ではなく、一番感染症学科に行くのに近い入り口に乗りつけた。
そのまま感染症学科に向かい、直樹の研究室のドアを開ける。
「おい直樹!」
大声で叫んだけど、返事はない。
「あ……」
井上の目が一点で釘付けになる。
直樹の婚約者である、橋本留美が寝かされていた。
「これは……」
青ざめて血の気のない顔色は、触診の必要もなく死んでいることが分かる。
「おい直樹!」
井上は部屋の中の直樹を探した。
と言っても、そんなに広い部屋ではないのだから、見回せばそこにいないのはすぐに分かる。
いったいどこに行ったのか?
彼女が発病してしまい。自暴自棄になって……。
嫌な想像をしてしまい。井上は首を振った。
大量の発病者が出て、人がいなくなった病院。
普通に考えれば自宅に帰っている可能性が高い。
井上は再度携帯電話を取り出して、電話をかけてみたが繋がらなかった。
「ちっ」
井上は携帯電話をポケットにしまうと、直樹の自宅に向かうために部屋を飛び出す。
ちょうどこの頃、聖人たちは遅れて到着し、正面玄関側に自転車を停めて病院内に入ったところだった。
そのため、井上と擦違うことなく、感染症学科に辿り着き、井上は一人でまた自転車に跨ると、そのまま直樹の自宅に向かった。