絶滅危惧種『ヒト』
「こ、これは……」


直樹はワクチンを投与した岡田の腕を見て、目を見開いて固まっていた。


皮下注射をした場所から、1cm巾程の青紫の道が、胸の方に向かって伸びていたのだ。


「すみません。上を脱いでもらっても良いですか?」


直樹は頼みながら、岡田のパジャマの前を肌蹴させようとした。



「うっ」


岡田が腹を押えて顔を歪める。



「岡田さん?」


「先生……気持ちわるゥプ」


岡田は咄嗟に口を押えようとした。


「うげぇええええ」


しかしその手は間に合わず、黄色い膿が口から噴出す。



「うわぁああ」


直樹は慌てて後ろによけた。


岡田はそのままベッドに倒れこみ、動かなくなる。


直樹はそれを一瞬見つめた後、急いで岡田のパジャマを肌蹴させた。


「何だこれは!?」


皮下注射の場所から腕、肩を経由し、胸を過ぎておへその辺りまで青紫の筋がついている。



「まさか……」


直樹は岡田の病室を飛び出し、原母娘の病室に向かった。

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