絶滅危惧種『ヒト』
「違う兄ちゃんのせいじゃない!」
「違うわ。直樹のせいじゃないわ」
聖人と綾乃が同時に叫んだ。
「うぁああああああああああああああ」
直樹は聖人を突き飛ばすと、そのままドアを開けて廊下に飛び出していく。
聖人は思い切り倒されて、頭を打ってしまった。
「待ちなさい直樹!」
綾乃の叫ぶ声に耳をかさず、直樹は走り去っていく。
「痛ってぇ〜」
聖人はすぐに立ち上がると、急いで兄の後を追った。
直樹が乗り込んだエレベーターのドアは、聖人が追いつく前に閉じてしまった。
エレベーターが上に上がっていくのを確認した聖人は、隣のエレベーターのボタンを押す。
兄が何階を目指しているのか分からないが、聖人はおそらく屋上ではないかと思った。
真面目で一途な兄のことである。
愛している女性を殺してしまったという自責の念で、自分も死のうと思っているに違いない。
エレベーターが到着して、梓と綾乃も乗り込んだ。
もし自分が、兄と同じように、自分の判断ミスで大切な梓を殺してしまったら……
やはり一人でのうのうと生きていくことは出来そうにない。
聖人は隣で心配そうな顔の梓の顔を見つめて、そう思った。
だけど……
それでも兄は、自分や母にとって大切な家族なのだ。死んでもらうわけにはいかない。
それに、井上が言っていた通り、今この細菌に一番詳しいのは兄なのだ。
兄の命は、もはや人類にとっても必要なものになっている、絶対に死なせるわけにはいかないと聖人は思った。
「違うわ。直樹のせいじゃないわ」
聖人と綾乃が同時に叫んだ。
「うぁああああああああああああああ」
直樹は聖人を突き飛ばすと、そのままドアを開けて廊下に飛び出していく。
聖人は思い切り倒されて、頭を打ってしまった。
「待ちなさい直樹!」
綾乃の叫ぶ声に耳をかさず、直樹は走り去っていく。
「痛ってぇ〜」
聖人はすぐに立ち上がると、急いで兄の後を追った。
直樹が乗り込んだエレベーターのドアは、聖人が追いつく前に閉じてしまった。
エレベーターが上に上がっていくのを確認した聖人は、隣のエレベーターのボタンを押す。
兄が何階を目指しているのか分からないが、聖人はおそらく屋上ではないかと思った。
真面目で一途な兄のことである。
愛している女性を殺してしまったという自責の念で、自分も死のうと思っているに違いない。
エレベーターが到着して、梓と綾乃も乗り込んだ。
もし自分が、兄と同じように、自分の判断ミスで大切な梓を殺してしまったら……
やはり一人でのうのうと生きていくことは出来そうにない。
聖人は隣で心配そうな顔の梓の顔を見つめて、そう思った。
だけど……
それでも兄は、自分や母にとって大切な家族なのだ。死んでもらうわけにはいかない。
それに、井上が言っていた通り、今この細菌に一番詳しいのは兄なのだ。
兄の命は、もはや人類にとっても必要なものになっている、絶対に死なせるわけにはいかないと聖人は思った。