絶滅危惧種『ヒト』
彰洋は渋滞の隙間を縫いながら、バイクを走らせて東城医大病院へと到着した。


バイクを停めてすぐに梓に電話をかける。ところが全然繋がらない。

おそらく梓はワクチンを打ったあの部屋にいるのだろう。

そう目星をつけた彰洋は、感染症学科を目指して歩き始めた。


「お父さん!」


部屋に入ると梓が嬉しそうに声を上げる。

氷の到着を待ちわびていた全員のテンションが上がった。


水筒を受け取ったブライアンは、すぐに水筒から氷を取り出すと、すでに溶けている水を、電子顕微鏡にセットする。


《いた! コイツだ!》


ブライアンは目を輝かせて全員の顔を見回した。


《私にも見せて!》


ジョディーの声も弾む。


《こんなの見たことないわ!》


電子顕微鏡を覗き込んだジョディも興奮に声を震わせる。


ケビンもアレックスも交代で覗き込んで、その度興奮して雄たけびを上げた。


すぐに細菌を培養しているシャーレに溶けた氷を垂らす。


《ウォオオオ! コイツはスゴイ!》


しばらく電子顕微鏡を覗き込んでいたブライアンが、興奮して大きな声で叫んだ。


《いったい何だ?》


ケビンが代わって電子顕微鏡を覗き込む。


《スゲェ! コイツ……。悪魔の細菌を喰ってやがる》


電子顕微鏡を覗くケビンの手が、興奮の為に震えていた。

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