絶滅危惧種『ヒト』
「ちょ、何でよ!」


梓が孝明を睨む。



「いいか梓、良く聞け」


「何よ?」


「こんなイケメンで、頭が良くて医者になろうなんてヤツが、オマエみたいな平凡で何の取り得もなくて、たいして可愛くもない女を、本気で相手にするわけないだろ!」


「ちょ、何てこと言うのよ!」


「そうだ! 梓は何かしらの取り得はあるぞ! ん~~~と、多分……」



「ちょっとお父さんまで何よそれ!」


「イヤ、違う。そういう意味じゃないぞ」


娘に睨まれて彰洋は慌てた。


「俺は梓の為に言ってるんだぞ。だいたいこんな爽やかなイケメンが医者になるんだぞ。将来浮気されまくって辛い思いをしたくないだろ?」



「ちょ、何よそれ。聖人は浮気なんかしないわよ!」


梓は孝明を睨んだ。


「ねぇ聖人?」


「えっ、ぁ、ぁぁ、ぅん」


突然振られたから、聖人は返事に詰まる。


「ちょっとどういうこと? 浮気するの?」


返事に詰まった聖人に対して、梓は本気で焦った。

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