絶滅危惧種『ヒト』
「へぇ~何だか神秘的な味がしますね」


聖人が孝明を見る。


「おっ、分かってるねぇ。それに比べてここの家族ときたら、何の感動もなくて、もう悲しいよ」


「だってタカ叔父ちゃん。氷の味しかしないんだもん」


「うるさい。もう栞には今後一切何のお土産もないからな」


「え~~~~~~~~~」


「もしくはペンギンの肉な」


「ちょ、それはいらない。って言うか、タカ叔父ちゃん、観測隊員辞めるんじゃないの?」


「おっ、そうだ。辞めるんだった」


孝明は栞に向かって、ニヤッと笑った。


「おい。辞めるのか?」

「アナタ辞めるって……」


初耳の彰洋と紀子が驚いて聞く。



「ん~~~まぁ、決定じゃないけどね」


「決定じゃないって……じゃあ何の仕事をするのよ」


紀子が真剣な顔で聞く。もう38歳の弟が、いきなり仕事を辞めると聞けば、姉として心配するのは当たり前である。


「とりあえずまだ何にも決めてないよ。それより梓の彼、桜小路くんだっけ」


孝明は話題を変えようとして、聖人に話しかけた。

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