絶滅危惧種『ヒト』
岩崎家の家族と、初めての対面を済ませた聖人が帰宅すると、リビングで兄と兄の親友の井上達弘が酒を飲んでいた。
「おお聖人、邪魔してるぞ」
井上はすでに赤くなった顔で、聖人に手を上げる。
「いらっしゃい」
聖人は笑顔で挨拶をした。
井上は高校生の時からの兄の親友で、当時群を抜いて成績が良かったらしく、今では厚生労働省のお役人である。
ところが全然インテリな感じではなく、体育会系的なノリでいつも明るくて、バカな話しかしないから、聖人は井上と話すのが楽しかった。
「あっ、そうだ。これ」
聖人は梓の叔父にお土産で貰った南極の氷を、厳重に密閉された発泡スチロールの箱から取り出す。
「何だそれ?」
「うん。彼女の叔父さんがさぁ、南極観測隊員でね、お土産にって南極の氷をくれたんだ」
「へぇ~~~」
「何万年も前の氷の単結晶なんだってさ」
「ってオマエ、彼女がいるのか?」
「え?」
「俺にいないのに、何でオマエに彼女がいるんだよ!」
井上は文句を言いながらも、少し嬉しそうだった。
「おお聖人、邪魔してるぞ」
井上はすでに赤くなった顔で、聖人に手を上げる。
「いらっしゃい」
聖人は笑顔で挨拶をした。
井上は高校生の時からの兄の親友で、当時群を抜いて成績が良かったらしく、今では厚生労働省のお役人である。
ところが全然インテリな感じではなく、体育会系的なノリでいつも明るくて、バカな話しかしないから、聖人は井上と話すのが楽しかった。
「あっ、そうだ。これ」
聖人は梓の叔父にお土産で貰った南極の氷を、厳重に密閉された発泡スチロールの箱から取り出す。
「何だそれ?」
「うん。彼女の叔父さんがさぁ、南極観測隊員でね、お土産にって南極の氷をくれたんだ」
「へぇ~~~」
「何万年も前の氷の単結晶なんだってさ」
「ってオマエ、彼女がいるのか?」
「え?」
「俺にいないのに、何でオマエに彼女がいるんだよ!」
井上は文句を言いながらも、少し嬉しそうだった。