絶滅危惧種『ヒト』
「おはよう」


自転車通学の梓は、自宅から三分ほどのスーパーの前で、いつも朋美と待ち合わせて学校に向かうのだ。


「おはよう」


先に着いて待っていた朋美が、笑顔で挨拶を返してきた。


「じゃあ行こうか」


「うん」


そう言って学校を目指し、自転車で走り出す。


「ねぇ朋美」


梓は気になっていることを、さっそく切り出してみることにした。



「何?」


「タカ叔父ちゃんのことなんだけど、まさか本気じゃないよね?」


「ん? 何で?」


「だって昨日、番号教えてたじゃん。本当に電話かかってくるかもよ。いいの?」


「やだな。かけて欲しくて教えたんだから、逆にかかって来なかったらへこむでしょ」


「いや、そうりゃそうだけど、だって相手はアラフォーのオジサンだよ」


「だから?」


「いや、だからって……」


「今さぁ、年の差婚って流行ってるじゃん。それに私ってずっとパパがいなかったから、ちょっとファザコンの気があるのかも」


「あっ、そうか……」


朋美の両親は、まだ朋美が幼い頃に離婚して、朋美はずっとお母さんと二人で生活しているのを梓は思い出した。

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