絶滅危惧種『ヒト』
「電話を一回かけると、ワクチンが一本途上国に届いて、誰かの命が助かるってヤツだろ?」


「ああそうだ」


「で? それが何なのさ」



「俺はなぁ、その電話を何百回もかけた」


「え? 何百回も?」




「ああ……。つまりは何百人も助けたことになる」


「すごい……」




「そのときは俺の電話で助かった人がいると思って優越感に浸ってた」


「うん」


「その後も途上国に行って治療活動にも参加した。

特に伝染病で何人も、何百人も死ぬところだったのを、仲間たちと共にワクチンを開発して助けたこともある」


昇は直樹の目を見つめた。

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