誠の華‐此処にいる幸せ‐


「貴方は苦しい思いをしてきた。無理しなくて良いんだ」

「............」

桜から涙が溢れる。

斎藤は泣き顔を隠すように抱き締めた。

「ふぇぇ....ッッ....」

「貴方は大丈夫だ」

少しの間、抱き締めあっていた。



その日は桜の報告をしないでおいた。

「お帰りなさい。斎藤くん」

「山南さん」

「どうしたんですか?浮かない顔して」

「いえ、何でもありません」

「そうですか....」

「それでは失礼します」

斎藤は走るように部屋に戻った。

一人になると浮かぶのは桜の泣いた顔。

「桜....」




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