誠の華‐此処にいる幸せ‐


遊女として働きはじめて、1ヶ月。最初の二週間は基礎からだった。そして初日。


「新しく入りました音愛(おとあ)どす。宜しくおくんなし。」


「可愛いね。主人ヒソヒソ…」

「かしこましました。音愛隣の部屋へ。」

「はい?」

音愛が隣の部屋に入ろうとすると悲鳴が上がった。

「ぎゃぁぁぁああ」

バンッッと開けるとそこには土方がいた。


「土方さん………?」

「お前を向かいに来た。帰ってこい。」


「でも新撰組に迷惑がかかる……」

「グチグチ言わないでこい。」

「はい………」

二人が遊廓を出て少しして、高杉が駆けつけてきたが音愛はいなかった。

二人は山口を出てから岡山まで行き、そこで宿を取った。が、夜遅いこともあって、一つしか宿が取れなかった。

「はいるか………?」

コクリ…と頷く。

それから土方は音愛に話を聞いた。


「新撰組を潰すためにまず、土方さんを殺るって行っていて、嫌だから嫁としてついていったんです」

「手紙の本当は…の続きはなんだ?」

「………」

「言えよ」

「本当は…土方さんを失いたくない。…………と」

「………」

少しの沈黙が続く。

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