私の隣の幽霊くん。
プロローグ 。
「昨晩…、辻谷 那央君が… 飲酒運転の車に轢かれ…亡くなりました…」
朝、教室にいつもより五分も早くやって来た担任が教卓の前に立ち、涙をボロボロ流しながら静かにそう私たちに言い放った。
それを聞いたクラスの皆は、一瞬、先生が何を言っているのか理解していなかったが、徐々に状況が理解出来、声を上げて泣く人が出始めた。
本当にクラスの全員が泣いている中、唯一私一人だけが涙を流していなかった。
…涙を流している余裕なんて私にはなかった。
だって──…
その昨晩亡くなったと言う彼が──
私の隣で浮いているんだから──。