私の隣の幽霊くん。


「那央ぉ…っ!やだよぉ!」


倉野亜里沙は大声を上げ、棺桶に抱きつくように泣き叫んでいる。


久留沢敦子もそれに負けずとすがりつくように泣いていた。


それを上から見下ろして真顔で見つめている辻谷那央本人。


彼を見えている私から見て、なんとも不思議な光景。


「田邊は行かなくていいの?」


のあが田邊くんに問う。


「まぁ、那央の顔見たいけど、あいつそういうのあんまり好きじゃないから最後に見るくらいでいいかな」


空笑いでそう言う田邊くんを見て、私はそれで涙ぐんでしまった。


    
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