私の隣の幽霊くん。


「皆、自分がいい人になろうと必死だなぁ」


いつも教室で聞いてる声とは違う、ワントーン低い声で宙に胡座をかきながら溜息交じりに言い放つ彼。


それは紛れもなく、今、教室で話題になっている辻谷那央本人だった──。


いや、本人と言うのは少しおかしいだろうか…。まぁ、宙に浮いてるとはいえ、本人は本人だが…。


私が彼の存在に気づいたのは朝、教室に入ってから。


ドアを開けて教室へ入るといつものように自分の席へ座ってる彼。


その時は何にも気にせず、いつも通りの毎日の景色だったが、先生が教室に入ってきた瞬間からその景色がガラリと変わった。


    








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