【短編】俺の可愛い妹
「武(タケ)ちゃん!」
大きな声で名前を読んで3回目。
無言で振り返った武ちゃんの顔は不機嫌そのもの。
そんなに怒らなくてもいいじゃない。
怒らせたのは、多分あたし。
だけど、ぷぅっと頬を膨らませたのもあたし。
「はぁー。何で梓衣(シイ)が拗ねてるわけ?」
いつも折れるのは、武ちゃん。
それなのに、あたしはまだ拗ねたまま、
「だって、武ちゃんが無視するから」
そう言って、チラッと武ちゃんを見た。
「んっとに、すんげぇ我儘。悪いのは、お前のくせに」
「そうだけど……。武ちゃんは巨乳が好きなの?」
「い、いや、そう言うわけじゃねーけど……
って何でお前に本気で答えなきゃなんねーだよ」
なんて焦って。
やっぱ巨乳好きなんじゃん。
あたしだって!
Aカップから、Bカップに昇進したんだよ!?
もう少ししたら、Cカップに……多分なるもん。
まだ、Bカップのブラが大きい気がするけど。
ふんっ、って顔を背けたあたしに
はあー、と大きな溜息をひとつ。
それを見て、あたしの胸のモヤモヤは更に大きくなった。