【短編】俺の可愛い妹
「あ、武ちゃん。ありがとっ」
無理矢理に笑顔を作ってドアロックに手をかけると、その上を大きな手が掴んだ。
え?
振り返ると、数センチってところに武ちゃんの顔がある。
あたしを見つめる、その真っ直ぐな目を思わず逸らしてましった。
「あんな事されて、帰せるかよ」
「武……ちゃん?」
「お前が仕掛けたんだから、な」
そう言うと、あたしの唇に武ちゃんの唇が重なった。
驚いたあたしは、目が大きく見開く。
状況が飲み込めない。
暫くして離れた唇。
そのまま固まったあたし。
「梓衣、目は閉じろ。後……唇に力入れ過ぎ」
「へっ!?」
驚いたあたしの隙をぬってか、もう一度重ねられた唇。
力の抜けたあたしの隙間から入って来た武ちゃんの舌。
「……ん…ふ…」
いつの間にか、ドアロックにかけていた手は、下に落ち。
武ちゃんの手はあたしの後頭部に回っていた。
時々、開く隙間から漏れる声。
神経が口内に集中して、他は何も考えれない。