妄想ガールの王子様
「ちょ……ハル?
何で俺睨まれてんの?」

「……いや。なんでもない」

春田くんはフイと目をそらして立ち上がる。

「もうすぐ日の出だな……」

三人でじっと水平線を見つめた。

春田くんの髪は猫っ毛でふわふわと跳ねている。

相変わらず服装はTシャツにジーパンだったけど。

それが彼の持つ飾らない雰囲気に馴染んでいる。

春田くんはスッとカメラを構える。

眼鏡の奥の鋭い眼差し。

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