妄想ガールの王子様
レジに向かう途中でよく知った茶色の髪と出会う。

「あれ、梨乃ちゃん!偶然~」

日野くんは手にマンガを持っている。

「それ、日野くんが読むの?」

日野くんが持っているのは

『アラビアンに恋して~ダイアモンドの誘惑~』というタイトルの少女漫画だった。

「え?あーこれ?妹のだよ。ウチの女共は人使いが荒くてね~」

日野くんは困ったように笑った。

「お兄ちゃん暇だったらマンガ買ってきて!って兄をパシリ扱いよ?」

「そうなんだ。前はお姉さんの買い物にも付き合ってたんだよね?」

「そうそう。アイツらに逆らうと後がこえーから」

< 138 / 164 >

この作品をシェア

pagetop