妄想ガールの王子様
「梨乃ちゃん声デカすぎ……くくくっ」

日野くんは笑いをこらえきれずに吹きだしている。

「もうっ!日野くんが変なこと言うから……」

わたしは上目使いで日野くんを軽く睨む。

「ゴメンごめん。怒んないでよ……あ。その本って」

「え?」

後ろに隠していた本を思わず前に持って来てしまっていた。

「カメラの本……ハルの為に?」

「ち、違うよ!えっとこれは何ていうかその……」

しどろもどろになってうつむくと日野くんは

「うん……分かった」

とだけ言ってレジに行ってしまった。

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