妄想ガールの王子様
「梨乃?どうした?」

春田くんがわたしの目を覗き込む。

薄い茶色の瞳が淡い光を放っている。

……この目が好き。

「何かあったのか?」

心配そうな優しい声。

この少し低めの声が好き。

「春田くん……」

「ん?」

軽く首をかしげる仕草。

彼の全てがわたしの心に入ってくる。

初めて二人で海に行ってシャッターを切る春田くんを見たときから

ずっとわたしは……

春田くんのことが好きだったんだ。



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