妄想ガールの王子様
「わ、わたし……
春田くんの、こと……が……」

想いが溢れてうまく言葉にできない。

彼の髪がふわりと揺れてわたしの頬に春田くんの指が触れる。

この間と同じように指先がそっと唇をなぞった。

「梨乃……」

彼がわたしの名前を呼んで。

わたしの唇に柔らかなものがそっと触れた。

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