妄想ガールの王子様
わたしの王子様
「梨乃、ちょっと立って」

春田くんはわたしの手を取って立ち上がられる。

「どうしたの?」

わたしがそう聞くと春田くんはにっと笑ってわたしをふわりと抱き上げた。

「えっ!?」

「梨乃ってこういうの好きなんだろ?」

春田くんは目を細めて微笑む。

そしてわたしをお姫さま抱っこしたまま歩き出す。

「春田くん!?わたし重いでしょ?降ろして……」

「ヤダ」

春田くんは短く言ってさらに抱き寄せてくる。

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