妄想ガールの王子様
「ハル、梨乃ちゃん泣かせたら許さねーよ?」

「……日野……お前……」

「もし何かあったら
俺が梨乃ちゃん奪っちゃうから」

いつもの冗談めいた口調の日野くんにわたしは思わず涙ぐむ。

「ちょ……梨乃ちゃん!?
何で泣いてるの!?
つーか、俺が泣かしちゃったよ!!」

日野くんの慌てる声を聴いてわたしは首を振った。

「もう三人では一緒に遊べないのかな……って思ってたから。嬉しくて」

「そっかー、梨乃ちゃんそんなに俺の事……今からでも遅くないから俺の所に……」

「ダメだ!!」

わたしの手を取ろうとした日野くんを春田くんが制する。

「んだよ……冗談だよ!
じょーだん!」


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