妄想ガールの王子様
男女合わせて10人の団体客はぞろぞろと歩いてカラオケ店に入る。

わたしはカナの袖を引っ張った。

「ねぇ、わたし帰りたい……」

「え?」

「だって、みんなオシャレしてきてるし……。わたしだけこんな恰好じゃおかしいよ……」

男の子たちもカッコイイし。

そんな中にいられないよ……。

カナはそんなわたしを困ったように見てみんなの後ろ姿を見た。

「まぁまぁ。せっかく来たんだしちょっとくらい歌っていこうよ」

「……でも」

「それに部屋に入っちゃえば薄暗くて服なんて分かんないよ!」

カナは明るく笑った。

わたしは場違いだと思いつつもみんなの後について行った。
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