妄想ガールの王子様
その写真がすっと胸に入ってきて。

わたしは窓際の席に座ってずっとそのページを眺めていた。

「それ、気に入ったの?」

誰かに声をかけられてわたしはハッと顔を上げた。

見るとそこには黒縁メガネの男の子がじっとこちらを見ていた。

あれ?この人って……。

さっきカラオケにいたメガネの人だ。

「…………春田くん?」

わたしが男の子の名前を呼ぶと彼はふっと笑った。
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