妄想ガールの王子様
「小林さん……だよね?
さっきカラオケにいた」

「う、うん……」

春田くんはわたしの名前覚えててくれた。

「俺、カラオケって得意じゃなくて。終わったときはホッとしたよ」

そういって彼は軽く笑った。

「ここ座っていい?」

「え?う、うん」

春田くんはわたしの向かいに座るとわたしの見ていた写真集を指差した。

「小林さんも写真好きなの?」

「え?えっと……」

わたしは突然の事にうまく返事ができない。

いきなり春田くんに話しかけられてどうしたらいいか分からなかった。

「俺、この図書館来た時は写真のコーナーばっか見てるんだ」

そうして春田くんは自分も持っていた本を軽くたたいた。

「人物も風景もどっちも好き。俺将来カメラマンになりたいからさ」

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