妄想ガールの王子様
「?」

「あ~もう!何でもないよ!
気にしないで!」

いつもの笑顔でそう言うと日野くんは慌てた様子でパンパンになったゴミ袋を持って焼却炉に向かう。

「どうしたんだろう?」

日野くんはみんなに優しいし明るいから誰とでも仲がいい。

部活はサッカー部で先輩からは可愛がられて後輩からは慕われているらしい。

彼は地味で妄想ばっかりしているわたしにも分け隔てなく優しくしてくれる。

ホントいい人だと思う。

さっきのもきっとお人好しの日野くんなりの心配だったのかも。

「いい人だなぁ~」

わたしは一人呟いて草取りを再開した。

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