甘い彼に満たされて
美杏がいた。
「美杏!」
隣で震えてだした佐久間も関係なしに、美杏に駆け寄る。
「おい!美杏!しっかりしろ!」
踊り場にいた美杏に、いつもの柔らかい笑顔はなく。
ぐったりと倒れ、意識もない状態だった。
「佐久間。美杏を運ぶから、先に保健室に行って話をしておいてくれ!」
「…わ…わか…った…。」
ふるふると震えて、おぼつかない足取りで走り出す佐久間。
「美杏…。どうしてこんなことに…。」
俺は美杏を抱き上げると、佐久間を追って保健室へ走った。