甘い彼に満たされて
ガラガラッ
「先生!」
美杏を抱えて保健室に駆け込む。
美杏を受け渡すと、保険医は眉を寄せた。
『眉を寄せるってことは、状況は良くないのか…?』
心の中の不安は止まることなく降り積もっていく。
「ちょっとごめんね。」
そういいながら美杏の前に立つ保険医。
「傷がひどいな…。私は今から救急車を呼ぶから、佐久間さんと隼美君は鈴野さんの様子を見ていてね。」
何かあったらすぐ声をかけるように。
そう言って保険医は電話をかけ始めた。
美杏の顔色は真っ青に染まり、呼吸も辛そうに見える。
しばらくして、外から救急車のサイレンが聞こえてきた。