甘い彼に満たされて
恵梨さんに迎えられて病室に入る。
「毎日ありがとうね。」
「いえ…。自分が来たいだけなので…。」
恵梨さんがこちらに向かって微笑む。
柔らかい声と表情とは裏腹に、その顔には疲れがにじんでいた。
最初に会ったとき…つまり、見杏が階段から落ちた日にはなかった隈が目立ち、顔のラインもその日より細くなっている。
「ちゃんと食べてますか?」
心配になり問う。
しかし恵梨さんは、俺に向かって曖昧に微笑むだけだった。