甘い彼に満たされて


美杏の髪を撫でてやりながら、美杏が階段から落ちた日のことを思い出す。





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美杏は、病院に着いてすぐ集中治療室に運ばれた。


手術中のランプが灯る。


もう、何時間たっただろう。


そう考え携帯の時計を見る。


しかし、時間は1時間ほどしかたっていなかった。


「……早く、終わんねぇかな…」


時間がたつと共に増長していく不安。


まるで、“不安”という名の鉄の塊が、肩の上にのし掛かっているようだった。

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