甘い彼に満たされて
美杏は、キョトンとしてこちらを見つめていた。
まだ状況が把握できていないのだろう。
まずはあの時の事を覚えているか確認しないといけないな。
「美杏、ここは病院だよ。ここに運ばれた日のこと、覚えてる?」
優しく問いかけたつもりだし、ましてや俺に気を使うことなんてないのに、何故か美杏は困り顔だ。
「覚えてないなら別にそれでいいよ。体調は大丈夫か?」
「あの…」
「ん?」
美杏は困ったように口を開いた。
その言葉を聞いた瞬間、目の前が真っ白になった。
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