彼の者、魔王と云ったそうな
其の者、火花を散りし語れども
*
「なかなかの身のこなし、見事なりっ」
「そら、おおきに」
木棒でなく鋭き刃を交え、キィンッシャリッと金属の響き合う音に酔いしれている、この二人。
山ン本の向ける刃は一突きが確実に、そして見事なまでに急所を狙う。
縁は対称的に流れるように刃を振るい、怪我をさせず降参させようと一閃を描く。
押して、引いて、交じりあい。
互いに譲らぬ交戦が、いつの間にやら敷地を飛び出し雑木林の中で振るわせていた。
「一突きが抉いどすなあ。山ン本はんは剣術でも習うてましたんやろか」
「少しかじっただけの、ことよッ!」
左肩を狙った振り下ろし。シュプッと微かな音をたて、多量の鮮血が噴き出し流れる。
「っ……」鋭痛の衝撃に肩をおさえようと、左手だけで刀を構え右手を左肩に押さえる縁。
縁の額にはべっしょりと汗が滲み出ている。
「なかなかの身のこなし、見事なりっ」
「そら、おおきに」
木棒でなく鋭き刃を交え、キィンッシャリッと金属の響き合う音に酔いしれている、この二人。
山ン本の向ける刃は一突きが確実に、そして見事なまでに急所を狙う。
縁は対称的に流れるように刃を振るい、怪我をさせず降参させようと一閃を描く。
押して、引いて、交じりあい。
互いに譲らぬ交戦が、いつの間にやら敷地を飛び出し雑木林の中で振るわせていた。
「一突きが抉いどすなあ。山ン本はんは剣術でも習うてましたんやろか」
「少しかじっただけの、ことよッ!」
左肩を狙った振り下ろし。シュプッと微かな音をたて、多量の鮮血が噴き出し流れる。
「っ……」鋭痛の衝撃に肩をおさえようと、左手だけで刀を構え右手を左肩に押さえる縁。
縁の額にはべっしょりと汗が滲み出ている。