彼の者、魔王と云ったそうな

キィンッ…!



「かっかかっか怒鳴りよって。ほんに、高血圧で倒れますえ。西と言えどおんなじ妖や。仲良くしましょうやさかい」



「ま、僕西のもんやあらへんけどー」にへらっ、と締まりのない笑みを浮かべる縁。


その目の前では、刀が十字に交わっている。


「小癪なっ!」ぐぐうっと力を入れ、縁の方へと体重をかける山ン本。

縁もへらりと笑って受け止めてはいるが、それこそ額の汗と左肩から流れる血は隠せない。



「…お前のような剣術使いに、この只成らぬ妖気。しかし人間臭に満ちておる。

妖の道を外れた外道よっ!」


「ははっ、外道やて。意味分かってつこうとるんかいな?外道も立派な妖の類どすえ、仲間外れにしたらあきまへん。

ま、僕ン言えることやないねんけどな」



へらへら笑う其の男。

元・妖怪と言えど、ここまで人間が山ン本に耐えられるのだろうか。

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