彼の者、魔王と云ったそうな

否、無理である。



「むうっ…!お前からだけでない、この底知れぬ力は何だッ」


「あれまあ、さすがは山ン本はん。ふつー気づくんも無理な話故、この『気』が分かるんかいな」


「っ……貴様、陰陽師と繋がっておったか!よいっ、その程度で私を殺せると思うなっ」


「殺すやて? 阿呆、僕な、殺生が何より嫌いなんや。せやかて、ここで大人しゅう帰ってくれへんやろか」


「……ふん、せめての懇願か?無様な」


「しょーもない僕に慈悲くらいどうどす?……ああ、ほんで、もう一つあんねやけど……」


「む」


「ええ女子(おなご)紹介してくれへん?」


空気読め。

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