彼の者、魔王と云ったそうな
ピキッと青筋を浮きたてらせた山ン本は、怒り云々でそのまま縁の体ごと吹っ飛ばした。
木々と共に倒れる縁。さすがに頭部からも血がダラリと垂れた故、もう減らず口は叩かぬだろうと。
「あれまあ、そんな照れんでええのに。山ン本はんってば飛ばすことないどすえ、かわええお人」
甘かった。
むくりと上半身を起こし、へらりと笑う縁に最早山ン本呆れ顔。
「お前のような妖は初めてだ…」
「うん?褒めてくれとるんかいな、わっかりにくいなあ」
「……。」
いやお前がなんなの。
お前の頭がどうなってんのかすげえ気になるわ。