push
 

「もしもーし?」


 勧誘とかじゃないんだ? って彼は笑った。
 普通に話してるってことは、そこまで怪しまれては居ないんだよね?


「れ、れん、ちゃん・・・ですか?」
「・・・・・・」


 笑い声が止んで、静かになる。
 あれ、やっぱり違うのかな。


「あ、あの、間違ってたならごめんなさい、すみませんでした」


 そういって切ろうとした。
 誰だかわからない人にかけてるなんて、すごく恥ずかしい。


「まって、切らないで」


 慌てた声が耳から話したケータイから聞える。


「11番目の答え、分かった?」
「い、一応だけど……れ、れんちゃん、なの?」
「そっか、解いてくれたんだ。ありがとう・・・じゃない、まずは大学合格、おめでとう」


 嬉しそうにそういってくれたれんちゃんの声が、すごく懐かしくて、胸がいっぱいになる。
 問題の答えは、れんちゃんのケータイの番号だった。

 
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