スキというキモチのカタチ。
改めて部屋を見回す。

窓の下にネコ足の可愛いソファがある。



(あ、可愛い。)




そう思いながら座ると、丁度彬と向かい合わせで座るカタチになる。


段差があるものの、違和感はない。


いつもこのはが下から彬を見上げるから。


座っていても同じだから。




「ごめん、このは。」




静かな部屋に今度は彬の声が響いた。



「何が?」




とにかく解らないから、聞く。


解らないことは何でも聞け。

そう言われていたから。




「お前が誰と何をしようが俺には関係ない筈だ。なのに…」

「関係ないなんて言わないで。」



言葉を遮るようにしてこのはは喋り始める。



「アタシ、彬ちゃんがスキ。
ずっと変わらないよ。他の人をスキになるなんて、考えられない。

だから、関係ないなんて言わないで。


ツラいよ。そんなの。」


分かってくれるまで何回だって言う。




あなたが。


あなただけが。



スキ。




顔をあげると彬がじっとこちらを見ていた。


なんだか泣きそうな顔をしている。




このはは立ち上がり彬の前まで進む。



泣きそうな顔をしている彬の頭を包むように抱きしめる。




「アタシは彬ちゃんしかいらない。

だから、いつも、今だって、伝えて来たの。
彬ちゃんがアタシを妹にしか見れないってわかってる。
でも、嘘ついてまで誰かと恋愛したいわけじゃないの。
だから、だからね」




懸命に話すこのはを彬はきつく抱きしめた。




「彬ちゃん?」





「苦しいよ、どうしたの?」




何も言わない彬にこのはは優しく問う。



抱きついたままこのはから離れない。



「あき」
「このは、俺はズルいんだ。」


何度目かの問いに被せるように彬が話し始めた。


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