スキというキモチのカタチ。

色々なキモチ・彬。

全てが上手く行くと、無性に不安になる。


自分という男がなんて面倒くさい性格をしているんだろう、と再確認してしまった週明け。



週末、このはを離さずに思うがままに愛して。


さあ、一週間が始まる。となって気付く。


(あの店での一件を何にも聞いてなかったな。あの男は誰なんだ?このはの何なんだ?)



どうもそれが気になって仕方なかった。



昼間はランチをやっているらしいその店に行けば何かわかるかもしれない。



営業に出たついでに立ち寄ってみるか。



あまり深く考えずに水曜日の昼、cat walkに足を向けた。



カラン




ベルのいい音が響いて、いい匂いが漂う。


「いらっしゃい………ま、せ、、、」



語尾は消え入りそうな声で男が出迎える。



「あ…。」




目が合って初めて気付いた。



(こいつ…このはを口説いてた奴…。)


ムカッとしたもののいつものポーカーフェースでサラリとかわす。


「ランチを。」



目の前にコトリと置かれたお冷のグラス。


時間がずれていたからか、店内は空いていて俺以外の客は居なかった。



「あんた、このはちゃんを連れてった奴だね。」



不躾に言われてカチンときたが、平静を装って目線を上げた。



「このはは俺の彼女だが。何か?」




挑戦的にニヤリと笑う。



「オレは諦めないよ。あんたからこのはちゃんを奪い取る。覚悟しときなよ。」




宣戦布告。




喧嘩上等。いつでもきやがれ。
但し、このはは俺の腕の中だ。俺がオンナにしたんだ。

「奪えると思ってるのなら、精々頑張れよ。俺は努力する奴は嫌いじゃない。


但し、このははやらん。」


本人の知らない所で男同士のバトルが始まった。



「あんた、名前は?」

「川藤 彬だ。お前は?」


「茅部 龍司。あんたの名前覚えとくわ。

ランチね、少々お待ちを。」



仕事はきちんとこなすのか。

なかなか手強い奴なのかもしれない。






< 26 / 37 >

この作品をシェア

pagetop