スキというキモチのカタチ。
「いらっしゃいませー」
お店の扉を開け店内に入り込むと、いい匂いに誘われるかのようにこのはのおなかがぐうっと鳴った。
「⁈」
(恥ずかしーいっ‼)
真っ赤になって俯いたこのはを庇う様に彬の大きな掌が頭を撫でた。
「好きなもの、食うといい。
お前は食べてる時しあわせそうな顔するからな。」
「フォローになってないよ、彬ちゃん。」
さり気なく繋いでいた手を離し案内された席へ着く。
マスターではなくアルバイトの店員さんが注文を取りに来た。
飲みものを頼み、あとは美来のいつものセリフ。
4人で向きあい、今日のこの場をなぜ設けたか、瀬戸が彬に説明を始めた。
「美来とはしょっ中喧嘩するんです。
お互い意地っ張りなもんで引っ込みもつかない。
そんなとき、木内くんが美来にアドバイスをくれたそうなんです。」
思った事を口にするかしないかで事態は変わる。
たったそれだけなのに、2人はこのはに感謝してもしきれないと言う。
「正直、喧嘩したらセックスして仲直り、ってのが当たり前だったんですよ。俺たち。
だから、肝心な所が分かり合えなかった。
今回木内くんに言われた言葉にハッとして考えを改めました。」
そうだったんだ。
アタシ、役に立てたんだ。
妙に嬉しかった。
いつも美来に励まされてるから、何とかしたかった。
ただそれだけだったのに。
「俺は高杉さんに感謝してますよ。」
彬が突然言い出す。
「え?」
いきなり話題を振られた美来は驚いた顔をする。
「嫉妬に狂った顔をするくらいなら、気持ちを受け入れてやれ。
あれは堪えた。
このはを好きなくせに煮え切らない俺の態度を高杉さんは見抜いてた。
このはを失わないで済んだのはその言葉のおかげなんだ。
ここのマスターにこのはを取られずに済んだ。」
ふわりと笑ってこのはの手を取る。
「お互い様って事だね!」
そこからは立場とか年齢とか関係なく、お互いの恋愛事情とかを沢山話した。
お酒も進み、少し酔っていたからかこのはは素直に美来に小さな声で問いかけた。
「ねえ、美来はさ、瀬戸さんとエッチするとき恥ずかしくならない?」
美来は一瞬だけ動きを止めたが、すぐに答えてくれた。
「恥ずかしくないかって言われたら恥ずかしいよ!未だに照れるもん。
でもさぁ、自分を曝け出さなきゃホントに気持ちよくなれないし、愛し合えないんじゃないかって思うから…。
このはは恥ずかしくてたまんないんだ?」
えへへ、とニヤケ笑いを浮かべて頷く。
「恥ずかしいの。
自分の子供みたいな体型が恥ずかしいし…声とか、自分のじゃないみたいに思えて。」
酔った勢いで素直な気持ちが口をついて出てくる。
それをこっそりと聞いていた男性陣は目を見開き2人の話に聞き入っている。
「アタシさ、彬ちゃんの過去の彼女に比べたらお子様だからさ。
胸は小さいし。
気持ち以外で勝てるとこがないんだもん。
美来はさ、スタイル抜群だからきっとさらけ出せるんだよ。」
酔い過ぎかもしれない。
涙まで出てきた。
「いつも自信もってる美来が羨ましいよ…どうしたらいいの?
ようやく振り向いて貰えたのにこんなお子様じゃ、彬ちゃんが離れて行っちゃう…。」
愛し合えない期間があったせいか、今までと違う関係性からか、不安で不安で堪らなかった。
分かったふりをして、迷惑をかけないようにしたせいなのか、彬が遠くに離れてしまったような錯覚さえあった。
そんなときに誕生日だから好きな事を好きな物を好きなだけ、と言われ彬が欲しいと強請った。
離れていかないで。
いつも側に居て。
アタシだけを見つめて、アタシだけを愛して。
伝えたくても伝えられなかった言葉がぐるぐると頭の中を回った。
「このは。」
隣に居た彬が不意にこのはの手を引いた。
勢いのまま、彬の胸に顔を埋める。
「ごめんな。寂しかったんだろ。」
ギュウっと強く抱き締められると、大好きな彬の香りがする。
「素直にならなきゃいけないのはこのはも同じだよ。
我慢ばっかりしてきたんだから甘えなきゃダメだよ。」
美来が鼻を啜りながら言う。
酔うと涙脆くなるのはこのはも美来も同じらしい。
「過去を気にするなって言っただろ?
頼むから泣かないでくれ。」
声を殺して泣くこのはを彬は力強く抱きしめた。
「ご、ごめんなさい!
泣いたり、したらっ、折角の食事なのにっ、」
居ずまいを正し向き直る。
「ちょっとパウダールームに行ってくるねっ」
きっと化粧が崩れてるはず。
「あ、あたしも行くよ。」
このはと美来が席を外すと、瀬戸と彬は目を合わせて苦笑いをこぼした。
お店の扉を開け店内に入り込むと、いい匂いに誘われるかのようにこのはのおなかがぐうっと鳴った。
「⁈」
(恥ずかしーいっ‼)
真っ赤になって俯いたこのはを庇う様に彬の大きな掌が頭を撫でた。
「好きなもの、食うといい。
お前は食べてる時しあわせそうな顔するからな。」
「フォローになってないよ、彬ちゃん。」
さり気なく繋いでいた手を離し案内された席へ着く。
マスターではなくアルバイトの店員さんが注文を取りに来た。
飲みものを頼み、あとは美来のいつものセリフ。
4人で向きあい、今日のこの場をなぜ設けたか、瀬戸が彬に説明を始めた。
「美来とはしょっ中喧嘩するんです。
お互い意地っ張りなもんで引っ込みもつかない。
そんなとき、木内くんが美来にアドバイスをくれたそうなんです。」
思った事を口にするかしないかで事態は変わる。
たったそれだけなのに、2人はこのはに感謝してもしきれないと言う。
「正直、喧嘩したらセックスして仲直り、ってのが当たり前だったんですよ。俺たち。
だから、肝心な所が分かり合えなかった。
今回木内くんに言われた言葉にハッとして考えを改めました。」
そうだったんだ。
アタシ、役に立てたんだ。
妙に嬉しかった。
いつも美来に励まされてるから、何とかしたかった。
ただそれだけだったのに。
「俺は高杉さんに感謝してますよ。」
彬が突然言い出す。
「え?」
いきなり話題を振られた美来は驚いた顔をする。
「嫉妬に狂った顔をするくらいなら、気持ちを受け入れてやれ。
あれは堪えた。
このはを好きなくせに煮え切らない俺の態度を高杉さんは見抜いてた。
このはを失わないで済んだのはその言葉のおかげなんだ。
ここのマスターにこのはを取られずに済んだ。」
ふわりと笑ってこのはの手を取る。
「お互い様って事だね!」
そこからは立場とか年齢とか関係なく、お互いの恋愛事情とかを沢山話した。
お酒も進み、少し酔っていたからかこのはは素直に美来に小さな声で問いかけた。
「ねえ、美来はさ、瀬戸さんとエッチするとき恥ずかしくならない?」
美来は一瞬だけ動きを止めたが、すぐに答えてくれた。
「恥ずかしくないかって言われたら恥ずかしいよ!未だに照れるもん。
でもさぁ、自分を曝け出さなきゃホントに気持ちよくなれないし、愛し合えないんじゃないかって思うから…。
このはは恥ずかしくてたまんないんだ?」
えへへ、とニヤケ笑いを浮かべて頷く。
「恥ずかしいの。
自分の子供みたいな体型が恥ずかしいし…声とか、自分のじゃないみたいに思えて。」
酔った勢いで素直な気持ちが口をついて出てくる。
それをこっそりと聞いていた男性陣は目を見開き2人の話に聞き入っている。
「アタシさ、彬ちゃんの過去の彼女に比べたらお子様だからさ。
胸は小さいし。
気持ち以外で勝てるとこがないんだもん。
美来はさ、スタイル抜群だからきっとさらけ出せるんだよ。」
酔い過ぎかもしれない。
涙まで出てきた。
「いつも自信もってる美来が羨ましいよ…どうしたらいいの?
ようやく振り向いて貰えたのにこんなお子様じゃ、彬ちゃんが離れて行っちゃう…。」
愛し合えない期間があったせいか、今までと違う関係性からか、不安で不安で堪らなかった。
分かったふりをして、迷惑をかけないようにしたせいなのか、彬が遠くに離れてしまったような錯覚さえあった。
そんなときに誕生日だから好きな事を好きな物を好きなだけ、と言われ彬が欲しいと強請った。
離れていかないで。
いつも側に居て。
アタシだけを見つめて、アタシだけを愛して。
伝えたくても伝えられなかった言葉がぐるぐると頭の中を回った。
「このは。」
隣に居た彬が不意にこのはの手を引いた。
勢いのまま、彬の胸に顔を埋める。
「ごめんな。寂しかったんだろ。」
ギュウっと強く抱き締められると、大好きな彬の香りがする。
「素直にならなきゃいけないのはこのはも同じだよ。
我慢ばっかりしてきたんだから甘えなきゃダメだよ。」
美来が鼻を啜りながら言う。
酔うと涙脆くなるのはこのはも美来も同じらしい。
「過去を気にするなって言っただろ?
頼むから泣かないでくれ。」
声を殺して泣くこのはを彬は力強く抱きしめた。
「ご、ごめんなさい!
泣いたり、したらっ、折角の食事なのにっ、」
居ずまいを正し向き直る。
「ちょっとパウダールームに行ってくるねっ」
きっと化粧が崩れてるはず。
「あ、あたしも行くよ。」
このはと美来が席を外すと、瀬戸と彬は目を合わせて苦笑いをこぼした。