【短編】新しい恋
「その程度なんじゃないの?」
「わかってるんですけど…」
大輝から最後に連絡が来た日から二週間後。
私は職場の先輩、江藤猛(えとうたける)と食事に来ていた。
仕事を終え帰ろうとしてる時に声を掛けられて、付いて来た。
今の仕事に就いてから色々、悩みを聞いてくれたりしていたから
大輝のことも相談してた。
「はっきり言って向こうに都合の良い女でしかないだろ?」
「……」
そんなことは分かってる。
大輝にとって昔も今も私は都合の良い女。
「お前の話だけだと付き合ってる女と別れる気ないみたいだし」
連絡すれば、いつでも会える。
「今の関係続けてても幸せになれないぞ?」
そんなこと…
誰かに言われなくても
自分が一番、分かってる。
分かってるけど…
「…それでも傍にいたいんです。」
どんなにツラくても…
どんなに苦しくても…
幸せになれなくても…
大輝の傍にいたい。
「…そんなに好きか?」
「…はい」
好きなんて言葉では表せないくらい。
「離れられねぇの?」
「離れられません。」
私からは大輝から離れられない。
今までイヤってほど経験してきた。
多分…
大輝も私からは離れられない。
確証はないけど、分かる。
「そんなに、はっきり言うなよ」
「え…?」
そう言った江藤さんは悲しい顔をして俯いた。
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