【短編】新しい恋


「…俺もお前が好きなんだよ」

「……」



江藤さんからの突然の告白だったけど


なんとなく気付いてた。


お酒の席なんかでプロポーズされたことあったし…
冗談だってことは分かってるけど。


私以外に新人は5人いるけど食事に誘われたりするのは私だけだし
メールや電話もしょっちゅうしてる。


だから、ワザと大輝のことを相談したり
それなりに距離を置いてた。



「俺のこと嫌い?」

「……」



ただ横に首を振ることしか出来なかった。


江藤さんのことは嫌いじゃない。


どちらかと言えば好きだけど、それは友情に近い。



「俺だったら莉奈を泣かせない。幸せにする。
だから結婚を前提に付き合ってほしい」

「……」



江藤さんだったら泣くことがないって分かってる。


幸せにしてくれるってことも分かってる。


だけど…



「…結婚を前提は正直、重いです。」



江藤さんは30歳で私は今年25歳。


結婚を考えてもおかしくはない年齢だけど、正直、重い。


私が江藤さんを愛情で好きになることはないって思う。


それに以前、江藤さんは次に付き合う人と結婚したいって言ってた。


だから重いって感じるのかもしれない。



「結婚のことは考えなくて良いから俺とのこと考えてくれないか?」

「……」

「知り合って1ヶ月くらいだけど莉奈の考え方とか、見ててほっとけないって思ってる。」



そう言ってくれるのは嬉しい。


だけど…



「私は江藤さんを好きになることはありません。」

「今はそうかもしれないけど、先は分からない。
正直、莉奈は相手から連絡が来ないとプライベートが充実してるって
莉奈にとって相手の存在が重荷なんじゃねぇの?」

「……」



何も言えなかった。


確かに大輝の存在は重荷なのかもしれない。


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