夜空に甘い星が降る
「今更だけど、いい加減リアルな男に興味持ってもいいんじゃない?上にも下にも同学年にも、いっぱい居るよ?」

「そう…だけど」


ゲームの様に、素敵な王子様が現れて、守ってくれて…なんて、さすがに現実では起こり得ないって事は分かっている。


けど、ゲームの誰かを好きだと思うように、現実の男の人を好きになった事は、一度もなかった。


「…麻緒と美来は?」

「ペンションでバイトするって。必要な物買うからって、先に帰った」

「バイト一緒にやれば良かったのに」

「ゲーム思うように出来ないの嫌だし…」

「ゲームの男は、物語の中では守ってくれるかも知れないけど、陽菜が生きてるここには、助けに来てくれないよ?」


少し口調が強くなった瑠李が、私に苛ついているのが分かる。


「…うん…」

「…まぁ、さ。まだはっきりした予定が立たないから何とも言えないけど、落ち着いたら連絡するから、遊びに行こ?」


顔を上げられず、床ばかり見ていた私の頭を瑠李が撫でる。


「じゃあ あたし部活行くけど、気を付けて帰るんだよ?またね」


手を振って、瑠李が教室を出て行くまで見送った。
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