夜空に甘い星が降る
(マンガの新刊、発売日 今日だっけ?)
商店街の行き慣れた本屋に足が向く。


「あっ…」


入り口横に置いてあった、無料のバイト情報誌に目が止まる。


(…バイトかぁ)
自然と伸びた手は、しっかりと情報誌を掴んでいた。


家に帰っても、買ったマンガを読む気にもなれず、横に置いた情報誌を、指でパラパラ端だけ捲ってみる。


何となくちゃんと見るのが怖い。が、意を決して、両手で持ち上げ1ページづつ見ていく。


(へぇ。飲食店の募集って多いんだ)
写真も載っていて、お店の前に並んだ、仲の良さそうな店員さん達が笑顔で写っている。


(思ってた雰囲気と違うかも…)
写真のどの人達も、表情が生き生きとしていた。


(私も働いたら、こんな笑顔で笑えるのかな…。今の自分を変えられるのかな…)
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